今日の空

「今日の空」菅原一剛(著)→

本書は菅原一剛さんの「写真がもっと好きになる」シリーズ3巻目にあたり、「光の記録」と「光の記録」をテーマにした一冊です。

今までの2冊と大きく違うのは「文字を読む」のではなく「写真を観る」、つまり写真集となっています。

したがって章立てもなく、菅原一剛さんが過去10年間にわたり撮りためた「空の写真」3650枚から、選りすぐりの写真が271ページにわたり掲載されています。

前回同様、装丁、紙質、写真印刷すべてに、こだわりを感じることができるクオリティーの高さです。

なお、現在も「今日の空」の撮影は継続中で、氏のホームページにて閲覧することができます。


本書は極めて個人的な日常としての「空の写真」が、地上の風景と共に、最初のページから最後のページまでひたすら続きます。

そして、各写真の下に「撮影日」と「撮影時間」と「撮影場所」が記載されています。

でもそれらは、観る者である私にとっては、必要ありませんでした。

自分の過去の記憶が、それらの写真の「時間」も「場所」も思い出させてくれるからです。

ページを捲る度に、著者とは違う人生を歩んで来たはずの私が、自分の過去に見た「あの日の空」とリンクしてきます。

でも、それはけっして不思議な体験ではありません。

著者の言う「ここにあるすべての空の写真は、きっとあなたの空につながっている空なのだと思います」ということだからです。

つまり、「光の記録」としての「空の写真」から、観る者それぞれの「光の記憶」が蘇るということです。


写真には、構図・色・内容等の物理的なモノは記録されますが、どうしても記録できない時間や記憶や奥行きなどの要素があります。

つまり写真は、撮影者が経験した、ほんの一部しか記録できないのです。

そして他者の撮った写真を観る者それぞれが、記録できない要素を、自分の過去の経験で補いながら観るのです。

それが写真集を観る楽しみのひとつでもあります。

特に本書は、そんな楽しみのひとつを、世界中の人が共有できる「空」をテーマにして再確認させてくれます。

なぜならば、著者の言うとおり「空の写真」の中には、たくさんの「光の記憶」が写っているからです。

それらを見つけるのが、この本の最大の楽しさだと感じます。


今日も空はひとつで繋がっていても、ひとりひとりはそれぞれの空だし……

人が撮った「空の写真」でも、共感できるのは空が繋がっているからだし……

どこにいても、光さえあれば写真は撮れるし、写真集もつくれるし……

どうせなら、自分で毎日「空の写真」を撮りためて、それを眺めてみると、どんな風に感じ取れるのか興味がわいてきます。

★こちらからも「今日の空」が、ご覧になれます。→