DUST MY BROOM

「DUST MY BROOM」菅原一剛(著)→

人によって「ゴミ化」された、ゴミの山に潜在した「再生する力」を写した写真集です。

私たちの手を離れたゴミの「向こう側」で起きている、普段目にすることのできない光景ばかりです。

積み上げられたゴミの塊からは、廃棄ゴミとしての絶望感ではなく「再生する力(エネルギー)」を感じられる写真が99枚載せられています。


写真は、1枚目の「数え切れない程の大量の缶飲料の缶をプレスした、綺麗にラッピングされたプレス缶の巨大ブロック」から始まります。

そして最後の99枚目の写真も「数え切れない程の大量の缶飲料の缶をプレスした、綺麗にラッピングされたプレス缶の巨大ブロック」で幕を閉じます。

同じじゃないかって?

1枚目のプレス缶のブロックは「クローズアップ」です。

最後の写真は、大きなブロックがパレットの上に何段も積み重ねられて、隣接しあう高層ビルのように所狭しと並べてあります。

そしてそれらには、まるで純白のシートを被せたように、雪が降り積もっているのです。

暖かくなり雪が溶けてきたら、これらの分別された再生ゴミは、どこかに運ばれてリサイクルされて新たな生命を吹き込まれるのでしょう。

そしていつかは、またここへ戻って来るのでしょう。

一度は枯れても、春になると雪解けと共に芽を出す、植物の生態系を連想させます。


ゴミとして回収された膨大なモノたちは、徹底した手作業による分別処理を経て、このように綺麗にラッピングされ、新たな素材として生まれ変わる「商品」となるのです。

本書で紹介される、人によって「ゴミ化」されたモノ達は……

アルミ缶に限らず、ペットボトル、段ボール箱、自動車関連のエンジン・タイヤ・アルミホイル、鉄道関連のレール・枕木・台車・車輪、おなじみの電気製品、建築資材、防衛庁のステンシルの入ったドラム缶まで様々です。

これらのモノたちが、「再生」というやり直し作業のために集められてる様を、高画質な写真でみせてくれます。

人によっては、コンセプチュアルアートやミニマルアートを彷彿させるでしょう。


元はカメラ系の月刊誌に連載された写真ですが、こうして写真集でまとめられると、熱いものがこみ上げてきます。

親子何代にも渡り、ページを捲り続けて観たい写真集です。

そのためかクオリティーの高い装丁で、厚手の高級コート紙と、高度な印刷技術で仕上げられています。

特に、印刷の黒の締まりが具合が最高に良く、鉄くずの重さを感じられるほどのボリュームです。

サイズは24.8 x 18.8 x 2.6 cmで、224ページの構成です。


最後に「世界で一番きれいなゴミの DUST MY BROOM」というエッセイが、和文と英文で数ページにわたり載せられています。

菅原一剛さんの少年時代からの、ここでいうゴミとの関わり合いが印象深く綴られていて、同年代の私は強く共感できました。


なお、本書のタイトル「DUST MY BROOM」とは、スライドギターの名手、エルモア・ジェイムスの代表曲だそうです。

意味は「ほうきの埃を払う」ことですが、「やり直す」ことの比喩として歌われているそうです。

タイムカプセルに忍ばせて、この先どうなっているか分からない未来の子孫達に見せてみたい……

そんな写真集でした。

★こちらからも「DUST MY BROOM」が、ご覧になれます。→