ニッポンぶらりカメラ旅

「ニッポンぶらりカメラ旅」丹野清志(著)→

私の生まれる前から長年にわたり、スナップ写真を撮りながら、独自の語り口で「スナップ写真論」も展開されている丹野清志さん。

そんな丹野さんの、今回は「旅」の撮影について書かれた本のご紹介です。

いやいや、「旅の撮影」というよりは、「撮影の旅」言った方が正しいかも知れません。

本書のタイトルである「旅行ガイドブックには頼らない・ニッポンぶらりカメラ旅」とは、いったいどんな旅なのでしょうか?

本書の文中によると、「カメラぶらり旅」とは、「しまりのない態度で目的もなく写真を撮る旅」と書かれています。

さらに、「移動スタイルがぶらりというだけではなく、頭の回転もぶらり感覚でいきましょう」とまで書かれています。

と言われても、写真の上達を目指して日々撮影技術を切磋琢磨している皆様方には、理解しにくい部分もあるでしょう。

しかし、最後まで読んで見ると「ぶらり感覚」で撮影することも、写真の上達に必要な撮影技術の一つであることが理解できます。


私自身ネットの無かった20年以上前に、ガイドブックもなく空港でもらった一枚の地図だけで、2週間アメリカを旅したことがあります。

目的地も決めずレンタカーを借りて、時間の許す限りひたすら西から東に向かって走り続ける「ロードムービー」のような旅でした。

もちろんホテルの予約もせず、宿泊地も成り行き任せてです。

今でもその時の旅が、人生において一番「旅といえる旅」であったような気がします 。

その時撮った写真は、「観光写真コンテストのような狙った写真」ではなく、本書で述べられているような「見知らぬ街の日常の風景」ばかりでした。

明らかに自分の撮る「いつもの型」とは違う写真ばかりが撮れました。


さて肝心の「ぶらり感覚」で撮られた本文中のたくさんの写真は、当然のことながら脱力系写真となります。

それも「今風のファンタジックなゆるい写真」ではなく、「悲壮感さえ感じられるリアリズムな脱力系写真」です。

そんな、地方都市の場末感たっぷりの写真からは、どこからとも無く演歌が聞こえて来そうです。


本書の仕様は、おなじみの玄光社MOOK。

約B5版、オールカラーの143ページです。

そしてコンテンツは、以下のとおりです。

・はじめに

・ギャラリー「旅ゆけば」

・第1章 ぶらりカメラ旅入門

・第2章 旅の写真を楽しむためのヒント

・第3章 さあ、ぶらりカメラ旅へ出かけますか

・第4章 男二人 弥次喜多ぶらりカメラ旅 丹野清志+尾仲浩二

第1章は、「ぶらりカメラ旅」に関しての21の疑問が、Q&A形式で解説されています。

第2章は、「旅の写真を楽しむためのヒント」として、13項目の楽しみ方やTipsが載せられています。

第3章は、テーマを決めた「7つの旅」が、それぞれ写真と文で紹介されています。

第4章は、写真家尾仲浩二さんとの男二人旅が、紙上再現「カメラぶらり旅」として紹介されていています。

読むと、確かな「ぶらり感覚」が実感できます(笑)


「写真の上達」を目指して技術ばかり磨くのも正論ですが、本書を読んで自分の表現の幅を広げてみることも、もうひとつの「写真の上達」の方法と言えます。

「お散歩写真」から「旅の写真」へステップアップしてみたい方には、先ずは本書を読んでみる事をお勧めします。

★こちらからも「ニッポンぶらりカメラ旅」が、ご覧になれます。→