新スナップ写真の方法

「新スナップ写真の方法」丹野清志(著)→

最近どういうワケか、今まで一番興味のなかったはずの「スナップ写真」にはまっています。

理由の一つをあげるならば、「ここぞという機会にしか一眼レフカメラを持ち出さない人の写真」よりも、「いつもチープなコンパクトカメラを持ち歩いている人の写真」の方が、断然面白いと気づいたからかも知れません。

つまり、コンパクトカメラで撮影することを基本に、型にはまらない「自由な写真」の楽しみ方を教えてくれるのが、今回ご紹介する「新スナップ写真の方法」と言う訳です。

なんといっても、自由に写真を楽しむための「方法」と言うよりも、「思考」が満載なのです。


著者の丹野清志さんは、私の生まれる前の1960年から写真を撮り続けてこられた方です。

そんな方が、「スナップ写真には、特別なカメラも作画技法も不要。見たこと、感じたこと、考えたことを、ストレートに画像に記録するだけでよい」なんて事を書かれているので、妙に説得力があります。

そんなわけで、本書においては、写真を撮るための技法のようなものは触れられていません。

あくまでも、押しつけがましい精神論ではなく、エッセイ風の著者の思考が綴られています。

サブタイトルどおり「写真教室では教えない」、非常に珍しい写真関連書籍に位置づけられると思います。


本書の仕様はおなじみの玄光社のムックです。

B5変形版の143ページ、やや厚めのコート紙でオールカラーです。

全部で64の項目を、以下のように3つの章立てで構成してあります。

1章スナップはカメラも写真も自由自在

2章 町歩きスナップの方法

3章 旅、ときどき写真について考える

巻頭には「北の町で」という写真集があります。

本文は、見開きで1項目、右ページが文章で、左ページが写真作品の掲載です。

文章は非常に読みやすく、まるで丹野清志さんに呑み屋で話を聞かせてもらっている感覚で読めてしまうわかりやすさです。

この年代の方が書かれた写真に関する本は、なぜかそういう文体が多いですね(笑)


本文中特に印象深かったのは、「写真の何を楽しむのか」について書かれた部分です。

撮り方の基本は、あらかじめデジカメにセットされています。

なので、オートで撮って、撮影データを自分で分析して勉強しろと書かれています。

写真教室で、作例写真を見せられて言葉で説明されるより、自分で撮影して理解を深める方が上達すると考え方です。

そして、教科書写真の撮り方を覚えることを繰り返していては、写真の面白さから遠ざかってしまうと警告を鳴らしています。

教科書どおりに撮ることで、写真から作者のメッセージは感じられなくなるというわけです。

それから、これはどんな本にも書いてありますが、「とにかく、写真を撮って、それを観る。上達の方法はそれ以外はない。そのためには、カメラを手放さないこと」と言う事です。

そのために、コンパクトカメラで撮るというわけですね。


もう一つ、忘れられない部分があります。

「小さな事に気づくことから、写真を撮り表現が生まれ、そこに個性も生まれる。気付いた事を丁寧に写しとっていく事が写真である」

「被写体というのは、写真を撮るために決められて用意されているモノではなく、ありふれた日常の中にある。」

そして、最後にこう締めくくられています。

「カメラという道具を使って、自分の気持ちをいかに写真化するかが写真の面白さ、楽しさである」

どうです?特に壁にぶつかっている方は、本書を読んで、凝り固まった思考を解してみてはいかがでしょうか。

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