世界の美しい廃墟

「世界の美しい廃墟」Thomas Jorion/トマ・ジョリオン(著)→

かっての廃墟ブームと共に、様々な廃墟関連のガイドブックが出版されました。

しかし、本書はれっきとした「世界中の廃墟をテーマとしたアート写真集」です。

撮影は、Thomas Jorion/トマ・ジョリオンさんという、1976年パリ生まれのフランス人写真家です。

都市の廃墟や、放棄された建築物を撮り続けている方で、その撮影には彼なりのルールがあります。

そのルールとは、4×5インチの大型カメラにカラーネガフィルムを使用して、自然光だけで撮影をするということです。

見方を変えれば、本書は「廃墟をモチーフとした建築写真集」であるとも言えます。

なお、本書の原題であるSilencio(シレンシオ)とは、スペイン語で「静寂」と言う意味です。

世界各国の廃墟と、そこに漂う時間の流れと静寂を捉えた本書にふさわしいタイトルですね。


本書はソフトカバーですが、サイズが30×21cmの大型横長サイズで212ページのため、かなりずっしり重いです!

コンテンツは以下の6つのテーマに分かれています。

・もうひとつのアメリカ

・忘れられた宮殿

・ソビエトを求めて

・色あせた革命

・コンビニ

・シレンシオ

写真点数は、全部で150点程度です。

全ての写真が、1ページに1点、裁ち落としではなく余白付きの横長の構図で構成されていています。

そして、各写真の余白には、タイトルと撮影場所(国と州や県)と撮影年度が載っています。

また、テーマが変わる毎に、最初のページに解説文がありますが、この文章はThomas Jorion/トマ・ジョリオン氏ではなく、レティシア・ギユマン氏が書いています。


肝心の写真ですが、よく目にする一般的な廃墟写真だけでに限らず、スチームパンク系やSF系(惑星、宇宙船や宇宙基地内部に見えるモノ)や、偽人法で人の顔に見えるモノまで、様々なバリエーションが楽しめます。

表紙の写真なんかは、TVドラマの「Xファイル」シリーズを彷彿させますね(笑)

また日本国内の作品もありますが、全ての写真において、ガイドブック的な情報は一切ありません。

さらに、著者のポリシーだと思いますが、建物の内部写真のみの構成で、外観が写った写真は1点もありません。


写真そのものはもちろん、印刷のクオリティーも高いので、光や影までもしっかりと再現されていて、その場の空気感まで感じとる事ができます。

そのため、現在の静寂から、時空を超えた在りし日の活気まで、想像を超えて楽しむ事ができます。

この点が、従来の廃墟ガイドブックでは楽しめない、本書だけの大きなポイントとなります。

★こちらからも「世界の美しい廃墟」が、ご覧になれます。→