たのしい写真 よい子のための写真教室

「たのしい写真 よい子のための写真教室」ホンマタカシ(著)→

私の尊敬するホンマタカシさんの書かれた、大好きな1冊です。

ホンマタカシさんは、木村伊兵衞写真賞の選考委員もつとめてらっしゃり、各方面でご活躍中です。

ご本人とは会ったことはありませんが、ご実家の写真屋さんは家から近い事もあり、かっては何度もお邪魔しました(笑)


さてそんな事より、この本の一番の特徴はと言えば、まずはこのタイトルでしょうね。

「たのしい写真」まではわかるのですが、「よい子のための写真教室」とはいったい……

このタイトルと表誌写真だけを見て、何人もの人が小学生向けの課外授業のテキストだと勘違いしたのではないでしょうか?

ちなみに、この「たのしい写真」シリーズは、現在第3巻まで出ていまして、今回ご紹介する本書は第1巻目でございます。

仕様は、単行本サイズで、しっかりとしたバードカバーです。

本文は一色刷りで写真もモノクロですが、中程にカラー写真が集めらたコート紙のコーナーがあります。

写真に関する本だけあって、全体に掲載されている写真の点数はかなり多めです。

本文の文体は、とてもフレンドリーでわかりいのが特徴です。

コンテンツは以下のようになっています。

1章 講義篇

2章 ワークショップ篇

3章 放課後篇

4章 補修篇

1章の「講義篇」は、大学の近代写真史で習うような内容が、17もの項目に分けて、とてもわかりやすく書かれています。

実は私も大学の写真学科の教育を受けてきた身なのですが、これほど興味深くわかりやすく書かれた近代写真史は初めてです。

小型カメラ「ライカ」の誕生と共に、その機動性を生かして生まれた「決定的瞬間派」。

その後、時代を逆戻りするように機動性を捨て、ビューカメラで近代社会をカラーで記録する「ニューカラー派」

この二つの派閥?を、とてもユニークな視点で比較解説してくれています。

同時に、写真の時代を築き上げた、偉大な写真家も次々と紹介されています。


2章の「ワークショップ篇」は文字どおり、ワークショップの紙上再現です。

最初は、自分の好きな写真集から好きな写真を1枚選び、それに対して同じ構造の写真を撮る課題が与えられます。

次に、「写真は真を写すものではない」事を意識するために、ウソを取り込んだ写真をとる課題。

最後に、撮影条件に制約を設けて、不自由な状態で撮影する課題。

さて、結果は本書を読んでからのお楽しみです。


3章の「放課後篇」は、ホンマさんの興味の赴くままのエッセイと対談です。

ポストカード、プラウベル・マキナ、偽ロバート・フランク、暗室、ライカ対ミノックス、謎の山岳写真家、ポラロイドなどなど12の項目が並びます。

最後の項目で、自分の大好きな建築写真家のジュリウス・シュルマン(インタビュー当時99歳)さんとの、気さくな対談が載っていて感激でした。


最後の第4章の「補修篇」は、一章まるまる堀江敏幸さんとの対話、テーマは「すべての創作は謙虚である?」にあてられています。

なお、難しい固有名詞には、巻末に簡単な注釈が付いています。


本書は、写真の読み解き方に特化して書かれているのが特徴です。

世の中、写真を撮ることについての知識が豊富な方は多いですが……

私は、写真の読み解き方に関して詳しい方と出会ったことがありません。

そう言う意味では、本書は本当に貴重な一冊だと思います。

とても勉強になります。

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